将来の日韓友好について考える韓国スタディツアーが、2012年12月26日(水)~29日(土)に韓国ソウルにて行われました。参加者は5名(青年部から杉山友里さんと秋永晃宏さん、引率として板倉徳枝理事と岩野智理事、協力者としてハキマ・ベンサリさん)でした。
今年で6回目を迎える本ツアーは、平和学習と異文化理解を目的としています。平和学習とは日韓併合や朝鮮戦争などの痛ましい過去から戦争の悲惨さについて学ぶことであり、異文化理解とは韓国の伝統文化さらには若者文化を、直接韓国人と話すことを通じて理解することを指します。
ここでは、平和学習の観点から訪問した2つの施設と、異文化理解のために実施した韓国青年とのディスカッションについて簡単に紹介します。
平和学習1:板門店
板門店は1950年代前半に勃発した朝鮮戦争の休戦協定が結ばれた場所であり、現在は韓米軍を中心とする国連軍と、北の朝鮮人民軍との間で共同管理されています。現在までおよそ60年間戦争が起こっていないとはいえ、現場の兵士からは張り詰めた緊張感が伝わってきます。同じ民族同士で殺し合うことの悲惨さをこの場所から感じるとともに、その再発を防ごうと、黙々と治安維持の業務に励む南北の兵士たちの姿が非常に印象的でした。
平和学習2:西大門刑務所歴史資料館
ソウル市内にある西大門刑務所跡は、かつて日本が韓国を併合した際に、韓国人による独立運動を抑える目的で造られた政治犯収容所です。施設内には牢屋や拷問道具など当時の様子が展示されています。ここを訪れると日本人として複雑な心境になりますが、日本の歴史教科書には書いていない情報が数多くあり、貴重な学習の場であるといえます。
日本の韓国侵略を韓国人の立場から考えることが重要であると、この施設は教えてくれます。
異文化理解:韓国青年とのディスカッション
韓国文化と韓国人の価値観について最もよく知ることができるのは、韓国人と直接話すことです。今回は「日韓両文化の比較」をテーマとして、3名の韓国青年とディスカッションをしました。話題は日本の漫画や韓国のオンラインゲームといった身近なものから、日韓両国の宗教、歴史認識、男女平等といった難しいものまで幅広く出されました。結論として、①日本のサブカルチャー(漫画、アニメ、小説など)が韓国でも十分受け入れられていること、②歴史認識や男尊女卑の価値観に両国で違いが見られるものの、その差異は若者の間では小さくなってきていること、③若者特有の悩み(勉強、家族、交遊関係など)は、両国の若者の間でほぼ完全に共有できること、を知ることができました。これをきっかけに、韓国文化のさまざまな面をこれから見つけていければと思います。
真に友好的な日韓関係を築くまでには、まだ多くの壁があります。しかし草の根の、しかも青年による地道な交流活動を通じて、これらの壁はいつか取り払われていくものと期待しています。その観点から、本ツアーをこれからも継続していきたいと思っています。最後に、ディスカッションの開催に快く応じて下さった韓国ユネスコ協会連盟および漢江(ハンガン)ユネスコ協会の方々に心からお礼を申し上げます。
(岩野智)