2013年12月26日(木)〜29日(日)
将来の日韓友好のため、私たちに何ができるのか。その答えを求めて、青年部が韓国の歴史と文化を学びにソウルを訪問しました。今回で7回目となる本ツアーは、韓国の歴史遺産を巡り、現地の青年たちと直接ふれあうという「異文化理解」と、戦争関連施設を見学する「平和学習」との二本柱で構成されています。ここではツアーの内容と帰国後に開催した報告会の様子を簡単に紹介します。なお、本ツアーは日本ユネスコ協会連盟の「2013年度青少年ユネスコ活動助成」の支援を受けて実施しました。
まず「異文化理解」を目的として訪問したのは、景福宮(キョンボックン)です。景福宮は14世紀末に建てられた朝鮮王朝の王宮です。広大な敷地に、歴代の王が即位式を行った「勤政殿」や、日常の政務を執り行った「思政殿」など、歴史的に重要な建物が点在しています。建物の姿形は日本の中世建築と共通するところがありますが、王の住む建物の屋根に龍が彫られていたり、他の屋根には『西遊記』の登場人物が彫られていたりと、日本よりも中国文化の影響を強く受けていることがわかります。
「異文化理解」のもう1つの訪問先は韓国ユネスコ協会連盟です。そこでは韓国の大学生たちと「日韓文化の比較」をテーマとしてディスカッションを行いました。具体的にはいくつかの小テーマを設定して、若者の視点から互いの文化について率直に意見を述べ合いました。例えば、学生生活(授業への出席や休日の過ごし方など)は両国の大学生の間でそれほど違いはありませんでしたが、韓国では受験競争が日本よりも激しく、大学に入るまでの勉強生活に違いが見られました。他には、昨年12月に日本の「和食」と韓国の「キムジャン」がユネスコの無形文化遺産に登録されたことを受け、両国の食文化について話し合いました。韓国では近年日本食がブームとなり、日本の外食チェーンも多数進出するようになっているとのことでしたが、一方の日本人(とくに若者)にとって「和食」のイメージは決して明確なものではなく、日本人として自国の食文化について理解を深める必要があると感じました。
次に、「平和学習」として訪問したのは西大門刑務所歴史館です。同刑務所は戦前、日本が韓国を支配するために同国の独立運動家たちを収容・投獄した場所であり、現在では獄舎が復元され歴史館として利用されています。獄舎はレンガ造りで床は板張り、暖房設備など一切無く、真冬は極寒となります。私たちは防寒具を着用していましたが、寒さで1時間もその場にいられませんでした。当時の収監者たちは想像を絶するほどの苦痛を味わったことでしょう。
もう1つの「平和学習」の訪問先は、韓国と北朝鮮の国境です。バスツアーを利用して、国境付近の非武装地帯、共同警備区域、板門店(パンムンジョム)を見学しました。この地域はいわゆる「38度線」と言われ、朝鮮戦争(韓国では「韓国戦争」と呼ばれる)の勃発以降、南北朝鮮の軍事的緊張が現在でも続いている場所です。国境を警備する韓国兵は徴兵により集められた若者たちであり、当協会の青年部とほぼ同世代です。同じ年頃の若者が徴兵で戦地へ向かう―。日本では考えられない状況に、参加した青年部のメンバーは驚きを隠せなかったようです。前述の刑務所と併せ、現地での「平和学習」を通じ戦争を行うことの悲惨さ、そして平和であることの尊さを学ぶことができたと思います。
ツアーで学んだことを若い世代に伝えるため、帰国後に中学生クラブの時間を利用して報告会を行いました(2014年1月18日(土)、セシオン杉並)。上記の内容を参加者自身の言葉でわかりやすく説明し、中学生たちに韓国の魅力を十分伝えることができました。中学生にアンケートを取ったところ、「まだまだ自分の知らない韓国がたくさんある」、「韓国のこと、私はキライだったが、少し見直したと言うのか、少し韓国について考えることができた」、「過去の日本も悪いことをしたと思うが、これからは過去にそこまでとらわれず、どんどん友好的になってほしい」など、多くの感想が寄せられました。
日韓関係がギクシャクする中、国内外の若者同士による積極的な交流が、これからさらに望まれると思います。
より詳しい情報は「第7回韓国スタディツアー報告書」をご覧下さい。
(岩野智)