2014年3月27日(木)〜30日(日)
3月27日から30日までの4日間、私たち青年部は平和学習のため広島を訪れました。今年で16回目を迎える広島スタディツアーは、天候にも恵まれ、参加者全員が仲良く、和気藹々としていて、より充実した時間を過ごすことができました。
初日は、原爆資料館の見学をした後、被爆体験者の新井俊一郎さんのお話を伺いました。原爆資料館の見学中はピースボランティアの方の説明を受けながら、広島での原爆の脅威について学びました。展示の中にはよりリアルに当時の状況を再現した展示も幾つかあり、それらに心打たれる参加者も数多くいました。
被爆体験をされた新井さんのお話では、まずはじめに「これから地獄の話をします。」という一言から話が始まりました。もともと新井さんは被爆体験を口にしたくないと思っていたそうです。しかし、3年程前から「世界の平和」がおかしくなったと感じたと同時に、4度目の癌を克服し「生かされている」と感じたことから、私たちのような若者たちに伝えていこうと考えを新たにされたそうです(下写真)。
お話を聞くにしたがい、既存の知識をはるかに超越する事実の数々に、ただただ圧倒されていました。その新井さんの伝えようとする気持ちが参加者にも伝わり、みんなそれぞれが自分なりに当時のことを感じ取り、考えを深める機会になれたのではと感じています。
2日目は、放射線影響研究所(RERF)(旧原爆傷害調査研究所(ABCC))を訪れ、その後、ピースボランティアの橘さんと一緒に市内の碑巡りをしました。
放射線影響研究所では、原爆傷害調査研究所時代からの研究所の歴史の説明や、どのようなことを研究しているのかを伺いました(左下写真)。実際にDNAの入ったサンプル用のアンプルを見せていただいたりもしました。みんな興味津々な様子でアンプル内を観察していました。
碑巡りでは、一つ一つ違った意味や思いを持つ記念碑の説明を真剣に聞いている姿が見られました(右下写真)。その中で、ある被爆体験をなさった方の当時の状況が書かれた文章を代読させていただきました。そこには当時の悲惨さを物語る単語が多く見受けられ、時々言葉につまってしまう場面もありました。しかし、聞いていた参加者のみんなは、その言葉をしっかりと受け止めようとする真剣な眼差しが印象的でした。
3日目は、江田島の海上自衛隊第1術科学校(旧海軍兵学校)を見学した後、宮島で世界文化遺産に登録されている厳島神社を訪れました。
海上自衛隊第1術科学校(左下写真)では、敷地内にある歴代の資料が展示されている資料館で、一つ一つの展示にみんな興味津々といった様子で真剣に説明文を読む姿が見受けられました。中でも、遺書が展示されていたブースではみんなが足を止め、何かを考え、思いながら、遺書に目を通していました。
宮島では、今までの平和学習の緊張感を解すかのように、みんな、楽しそうに厳島神社をはじめとする宮島の観光を堪能していました(中央下写真)。また、宮島では広島ユネスコ協会のご協力のもと、杓子への焼印押しの体験もさせていただきました(右下写真)。また、夜には屋形船に乗り、海側から厳島神社をみて、みんながしきりにシャッターを切っていました。
4日目は、ツアーの振り返りをした後、市内の散策をして各々東京への帰路に就きました。
この4日間のツアーを通して、日本の歴史、原爆について真剣に向き合い、参加者それぞれが何かを感じ、考える素晴らしい機会になったのではないかと思っています。現在、被爆の影響により、当時の状況を知る方が少なくなってしまっているなかで、実際に被爆なさった方の体験談を聞くという貴重な体験をさせていただいたからには、次は私たちが、戦争を知らない次の世代の人々に伝えていかなくてはいけないのではないかと感じています。そのためにも、ツアーを終えた今、事後学習により更に知識を深め、自分たちなりの戦争に関する発信をしていけたらいいなと思っています。
(黒竹聡美)