「原爆の図 丸木美術館 宮良瑛子展 沖縄 ―愛と平和と―」
鑑賞バスツアー
2014年6月28日(土)吉見百穴、原爆の図 丸木美術館(埼玉県)
6月28日(土)セシオン杉並8時40分集合。あいにくの雨が降ったり止んだりのお天気でしたが、バスは34人の参加者を乗せ丸木美術館へと出発しました。
車内では朝倉洋子 杉並ユネスコ協会会長の挨拶後、同協会理事であり丸木美術館の役員でもある小寺隆幸氏に、ビデオを見ながら「丸木美術館」の説明と埼玉県吉見町にある「吉見百穴」の説明をしていただきました。
はじめに吉見百穴へ行きました(下写真)。吉見百穴は古墳時代の末期に造られた横穴墓であり、大正時代に国の史跡に指定されました。昭和19年〜20年に、吉見百穴とその周辺に大規模な地下軍需工場が造られました。吉見百穴の下には巨大な航空機製造工場が造られていて、航空機の部品が造られていました。
吉見百穴に葬られていた古代人はどんな思いで子孫のすることを見ていたのでしょうか。 安らかに眠りたいものだと思っていたのではないでしょうか。
その後丸木美術館に移動。到着後すぐに2階の『原爆の図』の前で学芸員の岡村幸宣氏より詳しい美術館の説明を受けました(下写真)。
『原爆の図』は、広島の爆心地から2キロの場所に住んでいた丸木位里さん・俊さんご夫妻が原爆投下後爆心地に入り、自らが経験したことを描いてきた作品。ご夫妻とも被爆され、晩年はお身体の具合が悪い中、絵の制作に励んできたことをお聞きし、ご夫妻の思いの一端を知ることができました。
『原爆の図』は、鬼気迫るものを感じさせる作品で改めて原爆の恐ろしさと悲惨さ、人間の愚かしさを感じました。そして、尊い命を亡くした方達には、「もう二度と同じ過ちを繰り返さないために核廃絶に向けて考えていきます」と祈らずにはいられませんでした。
丸木美術館では、ちょうど沖縄で平和を追求してきた「宮良瑛子展」を開催していました。宮良瑛子さんの作品を拝観したいと参加していただいた方も多くいらっしゃいました。宮良さんの作品は現在の沖縄が抱える歴史と社会的な問題の中での人々の痛みや、それでも生き抜く人間のたくましさを感じるものでした。
また、丸木美術館の緊急企画として「日本国憲法を考える ジャン・ユンカーマン講演会 ―憲法9条の価値、本当の〈積極的平和〉とは―」の講演会に参加することができました(下写真)。ジャン・ユンカーマンさんは「映画 日本国憲法」を制作し、本当の平和とは何かを訴え続けている方です。
ユンカーマンさんは日本の憲法9条(武力行使しない・交戦権を持たない・放棄する)は世界的にも誇らしいものであり、守っていかなければいけないものであること、巨大な軍事力は少しも安全ではないこと、軍隊は安全などもたらせない、平和は流れてくるものではなくしっかり守らなければいけないことを力説されていました。
また同氏は、広島、長崎、そして沖縄と痛ましい記憶がある日本から「平和」を訴えていかなければいけない、日本人はアジア民衆のことをもっと考えるべき、外国人からすると「戦争を起こしてしまった日本人」、そのことをもっと知り考えるべきであるとも語っていらっしゃいました。
昼のお弁当は、丸木ご夫妻が晩年アトリエとして使っていた「流々庵」を使わせていただきました。お二人がこの場所で平和を祈りながら制作活動を行っていたことを思い、感慨もひとしおでした。
(佐藤直子)