2015年3月25日(水)〜28日(土)
青年部では、原爆の投下された広島へのスタディツアーを平和学習の一環として毎年企画実行しています。今年は原爆投下から70年の節目の年でもあり、「広島から何を学ぶのか、私たちはどうすべきか」など短い期間ながらも考えることが多い旅でした(参加者:青年部8名、厚木ユネスコ協会1名、理事3名)。
●3月25日(水)一日目
7:10 東京駅発
広島平和文化センター小溝泰義理事長訪問
小溝理事長は、広島ユネスコ協会の口添えをいただき、大変お忙しい中、私たちに会って下さいました。
「核という武器で、どれだけの方が犠牲になってきたか、私たちはそれを知らなければならない。戦争で、原爆でどれだけの人が悲しんだか、それを知り伝えなければならない。人間がどれほど残酷になれるか、崇高になれるか、自分の生きる道を貫いてほしい」と、熱のこもったお話をして下さいました。
ピースボランティア橘光生さんの案内で広島平和記念資料館見学
1945年8月6日、一発の原子爆弾により一瞬のうちに建物が壊され、市街は瞬く間に猛火に包まれました。約14万人が死亡したとされています。
資料館の遺品には持ち主一人一人の思いがあります。なお、原爆投下時直後の様子を模した蝋人形(右下写真)は取り除かれる予定となっているそうです。
静かな語り口でいろいろ説明して下さる橘さんからは、未来を担う青年たちに広島を伝えたいという熱い思いが感じられました。
被爆体験者 新井俊一郎氏の証言
新井さんは言われました、「広島は地獄でした」と。被爆者の平均年齢は今や80歳。原爆の体験を語り継がなければと3年前から語り部として活動されておられます。
その後、ビデオ「母たちの祈り」をみました。罪のない母と子が背負った原爆の重み、歳月を超えた悲しみは胸に深く響きました。
●3月26日(木)二日目
碑めぐり
平和記念公園を橘さんの説明で見学しました。
原爆死没者慰霊碑に青年部女子高校生の2人が花を手向けました(左下写真)。
原爆の子の像前には平和の象徴の折鶴がたくさんありましたが、今回私たちは、折鶴の代わりに原爆ドーム(修復中)に向ってウクレレとギターに合わせ「WHERE HAVE ALL THE FLOWERS GONE」を歌いました(右下写真)。
本川小学校訪問
『はだしのゲン』に登場する「本川国民学校」は、爆風をもろに受け鉄筋の校舎建物を残しただけに。
地下には広島平和記念資料館で展示されていた古いジオラマが再利用展示され、現存する被爆建築の一つとなっています。
お好み焼館見学(オタフク)
広島ユネスコ協会の井上さんのご好意で、お好み焼館(Wood Egg)の見学と昼食。
オタフクソースに中東産のデーツが砂糖代わりに入っていることにびっくりしました。
放射線影響研究所見学
平和目的のために原爆放射線の健康影響について調査する、日米共同研究機関の公益財団法人です。
65年以上にわたって広島・長崎の原爆被爆者の調査を行っています。
●3月27日(金)三日目〜28日(土)四日目
能美島(江田島)、宮島へ。そして宮島から広島を経由し、帰京。
江田島町にある旧海軍兵学校見学
明治21年に東京築地から移転して以来、海軍将校養成所として多くの将校の卵が厳しい訓練を受けました。
赤レンガの旧生徒館はTVドラマ「坂の上の雲」のロケ地にもなりました。教育参考館には旧海軍関係の資料や神風特攻隊員たちの遺書や遺品が陳列されています。
宮島散策(世界遺産 厳島神社他)
6世紀末に創建され、12世紀に平清盛により現在の姿になったという寝殿造りの厳島神社は、1996年12月に世界遺産に登録されました。
周囲の環境と一体となった建造群の景観は神々しいかぎりです。
●青年部の研修会
色々なところを見学や散策などをした後は毎晩研修会です。
その日見たこと感じたことを皆で語り合うのです。他の人の意見や感じたことを聞きながら自分でもう一度考えます。これから自分は何をすべきか、何が出来るのだろうか。
「聞いた以上は次の人に伝える」いわゆる「バトンリレー」を青年たちが繋げていってくれたら良いなと思いました。
広島の桜は一分咲で花見には早い時期でしたが、この4日間は天気にも恵まれ、広島のその時と今、そしてこれからを考える大変有意義なツアーになりました。
今回のスタディツアーには、杉並区職員組合のご支援の他、広島ユネスコ協会の方々にご協力いただき、また、宮島ユネスコ協会会長、そして広島大学付属高校ユネスコ班の先生も参加下さり、心に残る交流が出来ました。
平和資料館見学とその夜の研修会には鈴峰女子高等学校の生徒会から2名の参加もありました。ピースボランティアの橘さんは研修会にも毎回参加いただき、青年たちの疑問に答えて下さり、本当に実り多いスタディツアーになりました。お世話になりました。皆様に改めてお礼を申し上げます。
(大野克子)