2016年3月26日(土)〜29日(火)
広島のスタディツアーは今年で18回目となりました。
ツアーの歴史が、参加した青年部の年齢より長いことに驚きつつ、広島へ到着。
原爆資料館では広島ユネスコ協会の方々、広島大学附属中・高校の藤原先生をはじめ多くの方々に出迎えていただき(左下写真)、いよいよ3泊4日スタディツアーのスタートです。
●1日目
原爆資料館見学
館内は長期改装中のため展示物が例年より少ない状態でしたが、ピースボランティアの方に説明いただきながら展示物を見学。
教科書では伝わりきれないリアルな状況に、心が揺さぶられました。
被爆体験証言〜広大付属高校生、広島経済大学生との交流研修会
在日コリアンの朴南珠さんは、幼い頃に家族で日本に移住し、被爆された方です。当時の生々しい体験談に一同、言葉を失いました。
参加した広島の学生も、韓国の方の被爆体験をうかがうのは初めてとのことで、興味深く聞き入る姿が印象的でした。
講話後、朴さんを交えて、広大付属高校生、広島経済大学生とグループディスカッションを行いました。
※左下の写真は、朴南珠さん(左)と、広島ユネスコ青年部を立ち上げた山崎聖也さん(右)。右下の写真は、グループディスカッションの様子。
広大付属高校生との懇親会
夜の研修会に、広大付属高校のユネスコ班で活動している生徒達と藤原先生、10年間毎年お世話になっているピースボランティアの橘光生さんが参加してくれました。
宿舎で一緒に夕食のカレーを作り、打ち解けていく中、藤原先生から「東京の人がこんなに広島のことを考えてくれているので、自分達ももっと頑張りたい。昨今、ユネスコ活動を繋ぐ組織やイベントが少なくなり、今回のような機会はありがたいです」とのお言葉をいただきました。
また、杉並ユネスコから参加してくれたペペさんが、ふるさとメキシコ料理のタコスを作って全員にふるまってくれました。
大勢で食べる夕飯は、なんと美味しかったことか!
●2日目
碑めぐり〜本川小学校訪問
平和記念公園に点在する碑を、橘さんに説明いただきながら見学しました。
現在、ユネスコ世界遺産に登録されている原爆ドームは、被爆した少女が日記に記した「いつまでもおそるべき原爆のことを後世に訴えかけてくれるだろう」という一文から運動が起こり、50年前に永久保存が決定したそうです。
奇しくもこの日の朝刊には、東日本大震災で被災した石巻市立大川小学校の校舎保存が決定したとの記事が掲載され、後世へ伝えていくことの意義をより深く考える機会となりました。
※左下の写真は、原爆ドーム前にて橘さん(前列左)と記念撮影。右下の写真は、被爆した本川小学校の校舎。
放射線影響研究所見学
比治山の山頂にある放射線影響研究所(旧原爆障害調査研究所)は、平和目的のために、原爆放射線の健康への影響について調査する日米共同研究機関です。
あいにく日曜日のため内部見学は叶いませんでしたが、当時の状況に思いを馳せながら、かつて被爆された方が登ったであろう、急なこう配の道を辿りました。
研究所に隣接する高台には、比治山陸軍墓地(左下写真)があります。
全国四六都道府県、外国人も含め4500名余りのお墓が隙間なく整然と建てられている光景(右下写真)に、私たちは平和を強く願いました。
●3日目、4日目
江田島 海上自衛隊幹部候補生学校 見学
世界三大兵学校のひとつと称された学校の敷地内には、真珠湾攻撃に参加した特殊潜航艇をはじめ、特攻隊の遺品や遺書など、当時を今に伝える数多くの物が展示されています。
兵士や家族の心情にまで思いを馳せた青年部のメンバー達は、平和であることの意味をかみしめました。
宮島 世界遺産「厳島神社」見学
ツアー初日にほころび始めた桜の花も一気に開花し、淡いピンク色に染められた宮島で厳島神社を見学。
平安時代にタイムスリップしたような雰囲気の中、連日の緊張感からみんなの心もほころびました。
●おわりに
今回のスタディツアーでは、行く先々で多くの外国人とすれ違いました。
特に原爆資料館前の噴水広場は、海外に居るのかと錯覚するような光景です。海外の方の原爆への関心の高さは、私達の想像をはるかに超えたものかもしれません。
5月に開催される伊勢志摩サミット、そして2020年東京オリンピックに向けて日本への関心が加速する中で、私達はいったいどれだけ自国を伝えることができるでしょうか。
今回のツアーを通して、知ることの大切さ、物事を色々な視点からみることを学びました。
参加メンバーひとりひとりが、未来へつなげていく役割を実感しながら帰途につきました。
(西野裕代)