2017年5月13日(土)セシオン杉並 視聴覚室・集会室
5月の中学生クラブでは前半に英会話、後半にブータンの国紹介が行われました。
ブータンの紹介では、同国の中央官庁職員で現在日本に滞在されている、ケザン・ナムゲル(Kezang Namgyel)さんをお招きして、ブータンの文化とその魅力について語っていただきました。
まず、ケザンさんはブータンの基本情報として、国歌、国旗、地理、言語、通貨などについて紹介されました。
ブータンの首都はティンプー(Thimphu)という標高約2400mの高地にある都市で、人口は20万人ほどだそうです。
日本からは飛行機でタイを経由して、約8時間で行くことができます。
ケザンさん
ブータンの位置
首都ティンプー
ブータンの国旗は、中央に白い龍が描かれており、背景は黄色とオレンジの2色に色分けされています。
龍の白色は「純粋さ」、「清廉・潔白」を表しており、背景の黄色は王室の権威、オレンジは国民の9割が信奉する仏教を表しているそうです。
龍をよく見ると口を大きく開け、4本の足でそれぞれ宝石をはさんでいます。
これは、ブータン人の国を守ろうとする強さ(口)と豊かさ・富(宝石)を表しているとのことでした。
ブータンの言語はゾンカ語(Dzongkha)と呼ばれる国語の他、公用語として英語が使用されています。
ケザンさんはゾンカ語での簡単なあいさつを教えて下さいました。
「こんにちは」は「クズザンポー・ラ」(kuzuzangpola)、「ありがとうございます」は「カディンチェ・ラ」(kadinchela)と言います。
なお、最後の「ラ」(la)は目上の人に接するときなど、丁寧な言い方をする場合に付けるそうです。
ゾンカ語
あいさつの言い方
ブータンの通貨は「ニュルタム」(Ngultrum)で、60ニュルタムが約100円に相当します。
国を象徴する花や木、動物、鳥も定められており、花はブルーポピー(青いケシ)、木は糸杉、動物は牛に似た「ターキン」(takin)、鳥はカラスの親戚である「レイブン」(raven)だそうです。
ちなみに、ブータンでは仏教の教えに則り動物の殺生が禁止されています。ターキンを狩る行為は厳しく罰せられるとのことでした。
民族衣装としては男性用の「ゴー」(Gho)と女性用の「キラ」(Kira)があり、日本の着物のように身体に布をかけて帯で結ぶようになっています。
卒業式などの特別な行事の際に民族衣装が着用されますが、カジュアルな民族衣装も開発されており、普段着としても着られているそうです。
ブータンの食文化に関しては、主食は米であり、かつて日本人が米を持ち込み、現地で栽培されるようになったと言われています。
多くの食事に「エマ」(Ema)と呼ばれる唐辛子が用いられており、ご飯に辛いスープを添えて食べるのが一般的だそうです。
通貨ニュルタム
ブルーポピー
糸杉
ターキン
レイブン
民族衣装
着用の様子
ブータン料理
次に、ケザンさんはブータンの教育制度について説明して下さいました。
ブータンの学校制度は4段階に分かれており、1)就学前および初等教育(6~12歳)、2)前期中等教育(13~14歳)、3)中期中等教育(15~16歳)、4)後期中等教育(17~18歳)となっています。
とくに英語教育を重視しており、例えば幼稚園から教えられていたり、算数・数学の授業なども英語で行われていたりしています。
「学生は未来のリーダーである」という理念の下、ブータンでは国を挙げて教育に取り組んでいるそうです。
ケザンさんの「国が幸せになれば、子どもたちも幸せになる」という言葉に、子どもたちへの深い愛情と大きな期待を感じました。
学校のクラス
授業の様子
英語教育の重視
お話の最後には、5歳になるケザンさんのお嬢さんから中学生クラブのメンバーにむけて、ビデオメッセージが贈られました。
お嬢さんの可愛らしい姿に心が癒され、ブータンの「幸せ」を分けていただいたような気がします。
幸せの国ブータン。国の豊かさを経済力(GDP/GNP)ではなく幸福度(GNH:Gross National Happiness)で測る、世界でも特別な国です。
私たちにとって「幸せ」とは何なのか。それを考えるヒントがブータンにはたくさんあると思います。
次回、6月10日(土)の中学生クラブは、英会話とスポーツ大会です。スポーツを通じて、国籍を超えたコミュニケーションを目指します。
(岩野智)