2019年1月12日(土)セシオン杉並 集会室・視聴覚室
今回、ブラジル連邦共和国の紹介をしてくださったのは、留学生のエリック・ヤンさんです。
4月に来日して夏のユネスコキャンプにも参加してくれた彼は、ポルトガル語、英語、日本語が話せる19歳。
1時間のプレゼンテーションをすべて日本語で行ってくれました。
まずは国旗に注目。中央の白い帯には「秩序と進歩」というモットーが書かれ、星の数は州等の数を表しているそうです。
そして先住民、植民地時代に入植してきたポルトガル人、奴隷として連れてこられたアフリカ人、19世紀以降の日本や他の国からの移民の人々によって、様々な民族と文化が入り混じっているそうです。
けれど国民の約90%がキリスト教徒で、世界で2番目のキリスト教大国となっています。
スポーツといえば「サッカー」が有名で、国際試合の日は休日となりみんながブラジルを応援するそうです。
けれど正式な国技は「カポエラ」という音楽やダンスが入った格闘技だそうです。
奴隷たちが練習していたものが長く続き、ユネスコの無形文化遺産にも登録されました。
音楽ではサンバやボサノバアなどラテン音楽が生まれた土地で、作曲家トン・ジョビンは「イパネマの娘」という世界中誰でも知っているような曲を生み出しました。
発明家ではライト兄弟よりも早く飛行機を完成させたと言われているサントス=ドゥモン。
レントゲンX線プレートを発明したマヌエル・ジアス。
そして今をときめくインスタグラムもブラジル人のマイク・クリーガーが作り出しました。
このように世界的に影響力のある人はペレなどのサッカー選手だけでなく、様々な分野で活躍された人が大勢いるそうです。
伝統料理は2つあり、1つは「フェイジョアーダ」。豆と一緒に豚やソーセージを煮込んだもので、日本人にとってのご飯と味噌汁のようなソウルフードです。
もう1つは「シュハスコ」というバーベキューのような食べ物だそうです。
他にも「パステル」というブラジルの宝ともいえる食べ物など、おいしいものがたくさんあるそうです。
ブラジルのお正月は、カウントダウンして花火を見ながらシャンパンで乾杯します。
また文化や宗教によって様々な習慣があり、神様を祭るために真っ白な服を着て7つの波をスキップしたり、お金が入ってくるように、ザクロの種を財布に入れたりレンズ豆を食べたりするそうです。
続いて学校についてです。中学校は義務教育ですが、貧富の差が激しいため学校に通えない子もいます。
公立学校は大学まで無料。けれど大学に入る前に将来どんな仕事に就くか決めなくてはいけないそうです。
最後にブラジルの地域や主要な都市について紹介してくれました。
まず北部は熱帯雨林のアマゾン地域。日本の14倍の面積があり、様々な種類の生き物が住んでいます。
昆虫だけでも1000万種類いて、今でも新しい昆虫が発見されています。
しかし神秘に包まれた大自然のアマゾン熱帯雨林も大きな環境破壊が続き、10年後には半分以上が消失か破壊されると言われています。
北東部の大西洋海岸には真っ白な砂丘がある「レンソイス・マラニャンセス国立公園」があり、何億年もかけて自然現象が作り出した奇跡の幻想的な風景が広がっています。
今「死ぬまでに見たい絶景」として注目を集めています。
南西部には首都ブラジリアがあり、街全体を飛行機に見立ててデザインされ、まるで近未来を描いたような都市となっています。
羽部分はホテルや住居、コックピット部分は国会議事堂などがあります。
ルシオ・コスタという建築家が1人でデザインし、何もなかった土地にたった3年間で完成させたそうです。
南東部にはサンパウロやリオデジャネイロがあります。
サンパウロは南半球最大の都市で1908年から始まった日本移民がたくさん住み、今では日系人が世界で最も多い約40万人が暮らしています。
ブラジルが親日的なのは、この日本人たちが真面目で社会にうまく溶け込んだからだそうです。
リオデジャネイロは世界三大「美しい港」と言われ、世界遺産にも登録されています。
金やダイヤモンドがとれたゴールドラッシュ時代に積出港として栄えました。
コルコバードの丘に立っている巨大キリスト像は有名で、中は150人くらい入れる礼拝堂となっています。
また、リオのカーニバルは世界最大のサンバカーニバルで、世界中から90万人の人が訪れます。
南部にはブラジルとアルゼンチンにまたがる世界最大級の「イグアスの滝」があります。
世界自然遺産で滝つぼに流れ落ちる水は、地響きのような振動で体がゆさぶられるほどの迫力があるそうです。
そして最後にエリックさんが語った言葉。
「ブラジルはとても広くいろいろな文化が生きている国です。自分と違ったものや人を受け入れることによって、より豊かな世界が広がることを私たちブラジル人ンは知っています。みなさんも、ぜひ自分と違ったものを受け入れてみてください。きっと世界は広がると思います。」
エリックさんはこの日、とても調子が悪かったのです。医者にも行きましたが、病名が理解できていなかったようです。
医者からの言葉をスマートフォンで見せてもらうと、なんとしもやけ。足を見せてもらうと、ほとんどの指が赤く腫れあがっていました。
みんなで理解できるように説明し、ホカロンも体に貼りました。
原因が少しわかったようでほっとした笑顔をみせてくれたので、私たちもちょっぴり安心しました。
異国で自分の体に何が起きたかとても不安だったと思います。そんななか、ブラジルの話をわかりやすく説明してくれたエリックさん。本当にありがとうございました。
オブリガード。
(河野道子)