「イタリア文化講座 歴史と芸術の奥深さを知る」
2019年2月9日(土)〜3月9日(土) 計4回
セシオン杉並・コムウェルホール高円寺 参加者 42名
4回の講義で人気の高い「イタリア」の魅力をどうすれば伝えられるか、知恵の出しどころの講座でした。
また、初めて取り組む語学講義なし、文化のみの講座企画。専門の講師は規定の謝礼ではお願いできず、ボランティア講師探しが最大の難関でした。
外務省の“つて”を頼り、幸いにも大使館、イタリア文化会館の協力を得られ、関係者の尽力で受講生に満足度の高い企画となりました。
当初心配した応募者数ですが、定員30名を超え、42名まで枠を広げた講座になり、イタリアの人気の高さを改めて知りました。
第1回(2/9) 前半 「王政ローマ~古代ローマ最初期」
講師 マルタ・ガラウ氏(Piazza Italia講師)
サルデーニャ島出身、ナポリ東洋大学を卒業し、日本文化への造詣の深いマルタ講師による古代ローマ史の講義。
イタリア人の感性、母国への誇りも垣間見られ、イタリアをより身近に感じられる講義でした。
マルタ・ガラウ講師
第1回 後半 「イタリアの歴史と世界遺産Ⅰ:イタリアの歴史概念~古代ローマからルネッサンス」
講師 友野智子氏(世界遺産アカデミー認定講師)
世界遺産を交えての歴史講義。
帝政以前のファロ・ロマーノ、五賢帝の一人ハドリアヌスの別荘、危機の時代のカラカラ浴場、ヴィッラ・ロマーナ・デル・カサーレ(貴族の別荘)、そしてキリスト教の公認とコンスタンティヌスの凱旋門。
年代に沿いローマ帝国の時代背景が説明され、遺産の意義が浮き彫りにされました。
パートⅠは西ローマ帝国滅亡まで。パクスローマに浸った1日でした。
第2回(2/16) 前半 「イタリアの建築文化~各都市の建築と街づくり」
講師 倉林公夫氏(FS総合研究所代表取締役)
北イタリア、古い建物を修復保存するヴェローナ、ヴィツェンツァ、ヴェネチア、そして現存建築が併存するミラノ。
実際の視察に基づいた説明がなされ、さらに日本の古都京都の町家建築、蔵の街として原形を残す栃木市、佐原市、川越市の街並みを画像を通して比べ、イタリアの街づくりの概念を探りました。
最後は講師も参加した合唱をBGMにしてヴァチカンでの映像が流され、まさに圧巻でした。
倉林公夫講師
第2回 後半 「イタリアのトリノとアオスタ」
講師 村治笙子氏(エジプト壁画研究家)
トリノはフランス統治時代を経て、16世紀にサヴォイア家に戻り、1861年サルデーニャ王国の首都になりました。
国王ヴィクトリオ・エマヌエーレ2世がイタリア統一を成し遂げ、1865年まで統一イタリアの首都。1997年に街並みが世界遺産に指定されました。
ピエモンテ州のトリノとヴァレダオスタ州のアオスタはローマ時代の遺跡を多く残し、エジプトの遺跡とも縁の深い地域でした。
第3回(3/2) 「イタリアの歴史と世界遺産Ⅱ」
講師 友野智子氏(第1回目の後半と同じ)
友野講師による歴史講義パートⅡは、西ローマ帝国滅亡後から現代イタリアまでを世界遺産の解説も交え、一気に紐解いていただきました。
友野智子講師
第4回(3/9) 「イタリア音楽への誘い~オペラの魅力」
講師 渡辺大氏(テノールオペラ歌手、日本声楽アカデミー会員) ピアノ演奏 渡辺裕里子氏
イタリアの歴史を背景に発展したオペラ。その歴史と実演、オペラ舞台の映像もふんだんに取り入れ、オペラの魅力を解説。
盛りだくさんの内容に受講生も新たな魅力をイタリアに見出し、満足の様子でした。
渡辺大講師(左)と渡辺裕里子講師(右)
全4回の講座を終え、最も寒かった時期にもかかわらず、熱心に足を運び、専門的な話に聞き入る受講生の姿が印象的でした。
講師探しに翻弄された講座でしたが、受講者から教えられる面も多く、実のある講座となりました。
(山田祐子)