「ユネスコ無形文化遺産『和食』~節句料理(お正月料理)を作りましょう」
講師 山田雅子 氏(食文化研究家、平和の文化東京ユネスコクラブ理事)
2019年12月7日(土) セシオン杉並 料理室 参加者 17名
いま日本では、気候変動による季節感の変化、年中行事への興味の希薄化、何より生活の変化により外食、コンビニ買いも増えており、日本が昔から培ってきた食文化の今後が懸念されています。
2013年に「自然を尊ぶ」という日本人の気質に基づいた食に関する習わしが「和食;日本人の伝統的食文化」としてユネスコ無形文化遺産に登録されました。
四季がもたらす自然に寄り添って生きてきた日本人の精神にもう一度立ち返ってみることも必要ではないだろうかと、2019年度の料理教室は五節句の一つ「人日の節句(正月)」祝膳を取り上げてみました。
講師は平和の文化東京ユネスコクラブの理事であり食文化研究家の山田雅子氏です。
山田雅子講師
人日の節句(正月)祝膳
先生が数日前から下ごしらえをしてくださったお陰で、当日は「新春八種盛りと七草がゆ」という盛り沢山の献立で、
【伊達巻、柚子巻き、熨斗鳥、田作り、日の出蒲鉾、たたき牛蒡、海老の具足煮、花びら餅と七草がゆ】とかなりの品数を作りましたが、スムーズに調理を進めることができました。
基本のだしの取り方や海老の湯がき方、日の出に見えるような蒲鉾の切り方、七草(青物)を切るときはまな板の上で両手に包丁を持ち「七草なずな 唐土の鳥が 日本の国に 届かぬうちに ストトントン・・・」と歌って刻みます。
幼いころの正月の風景も思い出されてきました。
「お正月料理もそういえば和食だと再認識しました」と参加者の声にもありましたし、平安時代の新年行事にその端があるといわれている花びら餅は、「買うものと思っていたので自分で作れたことが嬉しくおどろきだった」との声もありました。
伊達巻
柚子巻き
田作り
日の出蒲鉾
花びら餅
正月料理を作った後は「和食伝承講座」として五節句[人日(1/7 七草の節句)、上巳(3/3 桃の節句)、端午(5/5 菖蒲の節句)、七夕(7/7 笹の節句)、重陽(9/9 菊の節句)]についての説明があり、
古代中国の陰陽五行説が由来していること、節句料理は五節句の祝膳料理であること、また膾と鱠(両方とも「なます」と読む)の違いなどについてスライドを見ながらお話を伺いました。
時代が変化して生活も変わります。おせちは手作りよりは買うもの、年始挨拶は年賀状ではなくネットでという人も増えているようですが、日本人の根底に流れている「心」は持ち続けたいものです。
「和食の魅力を改めて感じる貴重な体験でした」との声に次につながる可能性を感じました。
7月から始まるオリンピック・パラリンピックで日本を訪れる外国人に和食文化で「おもてなし」ができますように~
(大野克子)