杉並ユネスコ協会
杉並ユネスコ協会創立70周年記念
ユネスコのつどい「語りつなごう 私たちの平和」
2021年3月14日(日)セシオン杉並 ホール

会場全景1

プログラム

第1部 杉並ユネスコ協会創立70周年記念を祝う会

 1 挨拶・祝辞

  杉並ユネスコ協会会長 朝倉洋子

  杉並区長 田中 良

  杉並区教育委員会教育長 白石高士

  衆議院議員 石原伸晃

 2 杉並ユネスコ協会青年部プレゼンテーション「Generation to Generation」

第2部 「くじらのような大きな船の音楽会 ひびきあう第五福竜丸のしらべ」

 1 ピアノとチェロの美しいしらべ

  ピアノ 崔 善愛/チェロ 三宅 進

 2 音楽朗読劇「くじらのこえ なみのこえ」(脚本 山谷典子)

  朗読 斉藤とも子、辻 輝猛/ピアノ 崔 善愛/チェロ 三宅 進

  演出 辻 輝猛/照明 阿部康子

会場全景2

   杉並ユネスコ協会創立70周年記念事業 ユネスコのつどい「語りつなごう 私たちの平和」が、3月14日(日)、セシオン杉並のホールで行われました。

   1951年に東京都内で初めて発足した杉並ユネスコ協会。以来70年にわたり、ユネスコ精神に則り、平和の実現を目指して活動を続けてきました。

   記念事業のテーマである「語りつなごう 私たちの平和」は、これまで受け継がれてきた平和の願いを、世代を超えてさらに継承していくことを表しています。

   記念事業は2部構成で、第1部では会長と来賓による挨拶・祝辞、杉並ユネスコ協会青年部によるパフォーマンス。

   第2部ではピアノとチェロのミニコンサート、第五福竜丸の被曝事故を題材とした音楽朗読劇が行われました。

   今回は音楽会という枠組みの中で、ユネスコ活動に携わる若者の姿や、原水爆の悲惨さを感じてもらう企画を盛り込みました。

   この会を通じて、平和の精神を語り継ぐことの重要性を多くの参加者に伝えられるよう、特別な気持ちを持って開催に臨みました。

   

第1部 杉並ユネスコ協会創立70周年記念を祝う会

   第1部では70周年の記念式典が行われました。

   まず、朝倉洋子会長による挨拶、続いて田中 良 杉並区長、白石高士 杉並区教育委員会教育長、石原伸晃 衆議院議員より祝辞をいただきました。

   朝倉会長からは、これまでの長きにわたる活動に多大な協力をいただいたことに感謝し、持続可能で平和な地球になるよう、今後も実践的な活動を続けていくとの決意が述べられました。

朝倉会長
朝倉洋子会長
田中区長
田中良区長
白石教育長
白石高士教育長
石原議員
石原伸晃議員

   後半では、青年部によるプレゼンテーション「Generation to Generation」(世代から世代へ)が行われました。

   若者の間で平和と多文化共生の精神が共有され、そして未来に継承されていく。この好循環が青年部の活動を支えていることを、様々なパフォーマンスやムービーを通して表現しました。

   まずは、文化交流の大切さを表現するものとして、日本の伝統芸能「南京玉すだれ」と民族衣装を紹介する「世界のファッションショー」が披露されました。

   南京玉すだれは青年部の間で代々受け継がれてきた芸であり、唄と踊りに合わせて日本文化を楽しく紹介できることから、交流会などの場でよく披露されています。

   世界のファッションショーでは、ベトナム、韓国、アフガニスタン、サウジアラビア、モンゴルの民族衣装が披露され、衣装にまつわる豆知識も紹介されました。

   例えば、モンゴルの「デール」は裾にスリット(切り込み)が入っており、これは馬に乗りやすくするための工夫であると言われています(チャイナドレスの原型になったとの説もあります)。

   遊牧民が多いモンゴルならではの伝統衣装と言えるでしょう。

   次に、ユネスコ精神を共有し、ともに活動する仲間との絆を表現したオリジナルムービーが披露されました。

   青年部部長の海老沼輝さんがセシオン杉並まで、ある届け物を運ぶというストーリーで、ある届け物とは仲間との思い出がつまった写真だったのです。

   そして最後に、海老沼部長は壇上から、70周年のお祝いと周囲への感謝の気持ちを一言一言噛みしめながら述べていました。

南京玉すだれ
南京玉すだれ
民族衣装1
世界のファッションショー
民族衣装2
モンゴルの民族衣装「デール」
海老沼部長
海老沼輝青年部部長の挨拶

   

第2部 「くじらのような大きな船の音楽会 ひびきあう第五福竜丸のしらべ」

   第2部ではコンサートと音楽朗読劇から成る音楽会が行われました。

   前半のコンサートでは、クラシックの名曲の数々を、崔 善愛(チェ・ソンエ)さん(ピアノ)と三宅 進さん(チェロ)が美しいハーモニーで奏でました。

〈曲目〉
 裸の島(林 光)
 夢のあとに(フォーレ)
 白鳥(サン=サーンス)
 革命のエチュード(ショパン)
 別れの曲(ショパン)
 鳥の歌(カザルス)

   最後の曲「鳥の歌」は当初プログラムにはなかったもので、お二人の希望により演奏されました。

   その理由は、「鳥の歌」を編曲したパブロ・カザルス(スペインのチェロ奏者)が平和運動家であり、音楽を通して平和を実現しようとしていた人だったからです。

   崔さんと三宅さんの情感のこもった演奏は、耳だけでなく心にも響くものでした。

コンサート1
崔善愛さんのピアノと三宅進さんのチェロ
コンサート2
平和運動家カザルス氏の言葉を紹介

   後半では、第五福竜丸の被曝事故を題材とした音楽朗読劇「くじらのこえ なみのこえ」が上演されました。

   1954年、南太平洋のビキニ環礁で米国の水爆実験により被曝した第五福竜丸。その乗組員の1人であった大石又七さんをモデルとした作品です。

   主人公の大橋又七(大石さんのこと)が、ビキニ環礁でクジラやイルカたちと楽しい時間を過ごしているとき、物凄い爆音が鳴り、キノコ雲が立ち上ります。

   やがて雪のようなものが空から降ってきました……「死の灰」です。

   それを浴びてしまったことで、又七、クジラ、イルカたちの運命ががらっと変わってしまうという物語です。

   朗読を担当するのは、俳優の斉藤とも子さんと辻 輝猛さん。お二人の臨場感あるセリフに、崔さんと三宅さんの絶妙な演奏が重なります。

   あの日ビキニ環礁で起こったこと、登場人物の心情や周囲の情景が、わかりやすく伝わってきます。

   被曝した又七は帰国後、しばらく経って第五福竜丸の模型を作ります。そのときの思いが次のセリフに表れています。

   「第五福竜丸の模型――伝えたい、わかってもらいたい。そう思った。どんなにつらい出来事でも、忘れてしまうと、また繰り返してしまうからね。忘れないように、覚えていてもらうために」。

   平和を語りつぐ――記念事業で掲げたこのテーマを又七は(また実際の大石さんも)実践しています。

   私たちも平和のために何かできるかもしれません。そのきっかけをこの物語は与えてくれた気がします。

   とても心揺さぶられる劇でした。

劇1
斉藤とも子さん
劇2
辻輝猛さん
劇3
平和への願いを込めて演じる

来場者の感想

・第五福竜丸の船員とクジラとイルカ、当時のことを伝えるのにとても分かり易く、心に響いた。

・美しいメロディーにのせて、ひびきある美しい張りのある声での語りに感動した。

・大石又七さんの『死の灰を背負って』を読んでいたのでよく理解できた。とてもよくできた劇。

・「本当の平和の意味」を改めて考えることができた。原爆も水爆も「不必要なこと」と訴えていきたい。

・台風でそしてコロナで中止になっていた劇、ついに巡り合った。10歳の娘と聞けて感動した。日本中の子どもたちに聞かせたい。

(岩野智)