杉並ユネスコ協会
<仮訳>
国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)憲章
1945年11月16日採択
1946年11月14日発効

前文

   この憲章の当事国政府は、その国民に代わって次のとおり宣言する。

   戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。

   相互の風習と生活を知らないことは、人類の歴史を通じて世界の諸人民の間に疑惑と不信をおこした共通の原因であり、この疑惑と不信のために、諸人民の不一致があまりにも多くの戦争をひきおこしてきた。

   ここに終わりを告げた恐るべき大戦争は、人間の尊厳・平等・相互の尊重という民主主義の原理を否認し、これらの原理の代わりに、無知と偏見を通じて人間および人種の不平等という教義をひろめることによって可能にされた戦争であった。

   文化の広い普及と正義・自由・平和のための人類の教育は、人間の尊厳に欠くことのできないものであり、かつすべての国民が相互の援助および相互の関心の精神をもって果たさなければならない神聖な義務である。

   政府の政治的および経済的取りきめのみに基づく平和は、世界の諸人民の一致した、しかも永続する誠実な支持を確保できる平和ではない。よって平和は、それが失われないためには、人類の知的および精神的連帯の上に築かれなければならない。

   これらの理由によって、この憲章の当事国は、すべての人に十分で平等な教育の機会が与えられ、客観的真理が拘束を受けずに探求され、かつ思想と知識が自由に交換されるべきことを信じて、その国民の間における伝達の方法を発展および増加させ、相互に理解するために、また相互の生活を一層真実に一層完全に知るために、この伝達の方法を用いることを一致して決意する。

   ゆえに当事国は、世界の諸人民の教育、科学および文化上の関係を通じて、国際連合の設立の目的であり、かつその憲章が宣言している国際平和と人類の共通の福祉という目的を促進するために、ここに国際連合教育科学文化機関を創設する。

翻訳:杉並ユネスコ協会