杉並ユネスコ協会
ユネスコ文化講座「はじめてのフランス語 フランス文化とともに」
講師 クレモンティーヌ・クタンティック氏(フランス語講師)
2014年10月25日〜11月29日 毎週土曜日(計6回)
セシオン杉並 第6・7集会室、料理室

会場全景

   「フランスに行きたしと思へども、フランスはあまりに遠し」という有名な萩原朔太郎の『旅上』が発表されたのが1913年(大正2年)5月でした。あれから100年が過ぎ、飛行機は一日のうちに幾度も日仏間を往来し、インターネットを通じれば瞬時にニュースが飛び込んでくる、その気にさえなればいつでも「フランス」に接することのできる21世紀現代という時代を覗いてみたら、朔太郎は果たしてどんな詩を読むのでしょうか。

   そんな空想に想いを馳せると愉快な気分にもなり、またいくぶん複雑な気持ちにもなります。「せめては新しき背広をきて、きままなる旅にいでてみん」という詩句へと続く『旅上』の共感の背景となった時代は遥か彼方……。

   過剰なほどに便利さを追求する世の中、めまぐるしい変化を続ける現代社会は絶えず刷新を繰り返し、私たちの時空間の概念を大きく変えて生活をいっぺんさせました。そしてフランスはかつての朔太郎のフランスではなく、よりリアルな同時代のフランスとして私たちに迫ってきています。

   とは言え、フランスは現代においても、世界中の人々を魅了してやまない国であり続けています。世界における観光客訪問数ではトップを走り続け、年間にして8千数百万人の旅行者があり、その数はフランスの総人口を超えています。最近では『パリに行ったことないの』という短編集が売れ、よくこれだけネタがつきないなと思うほど、いたるところでフランス特集が組まれ続けています。

   遠い彼の地であることをやめ、神秘のヴェールが剥がれてなお人々を惹きつけてやまないフランスという国はいったいどんな国なのでしょうか?

   杉並ユネスコ協会では昨年度、フランス関連の行事を二つ行いました。一つはフランスを代表する建築家ル・コルビュジエに焦点を当てた講演会「世界遺産とフランス」、そしてもう一つは、日本で唯一のル・コルビュジエの設計した建築物を訪ねるツアー「国立西洋美術館探訪」です。

   会員を初めたくさんの方々に参加頂き、大盛況のうちに幕を閉じましたが、今年度はさらに「文化の秋」に相応しく「フランス文化講座」を開催しました。10月末から土曜日ごとに開催し、計6回。最初の90分をフランス語学習に、残り30分を文化講座に充てました。

   講師にはフランス語講師クレモンティーヌ先生にお越し頂き、基礎からのフランス語を学びました(左下写真)。難しいとされるフランス語の発音を日本人の陥りやすい発音の癖をよく掴んだ上で、丁寧に教えて下さり大好評でした。

   文化講座では「パリ」「フランスの世界遺産」「シャンソン」「クレープ作り(右下写真)」「文学・哲学」「映画」と講座ごとにテーマを取り上げて、様々な角度からフランス文化に触れることを目指しました。

クレモンティーヌ先生  クレープ作り

   予想を遥かに超えて受講者の方々にお集まり頂き、やむなく定員超過でお断りさせて頂いた方もいらしたこと、ここにお詫び申し上げます。今回の講座を通じて、杉並にいながらしばし「きままなるフランスへの旅にいでられた」ならこれ幸いでございます。

(吉田洋之)